
英語で発表
英語(とか外国語)で発表(プレゼン)したことはありますか。
私が初めて英語で発表したのは、某外資系企業の日本支社で働いていた時。会社がつけてくれたアメリカ人の先生と、プレゼンの教科書に沿ってスライドを作りました。文法の間違えが怖くて、先生に一回すべて見てもらって、それから、丸暗記に入りました。
最初に今日の発表内容があって、本題があって、最後に今日の発表内容のまとめがあって、大した内容でもないのに同じことを3度も繰り返す、部屋にいる人全員を一挙に眠りにつかせるようなつまらない内容でしたが、数日前から緊張してセリフを必死に覚えました。
アメリカに留学して大学院生をしていた時は、ジャーナルクラブで学部の教授+学生の前で自分の好きな論文の発表をする、というのがありましたが、大きな部屋に響かせる声が出なくて、しかも発音はべたべたに日本語なまりで、この時もずいぶん緊張して、部屋で友達相手に練習したりしました。たぶん一週間くらい緊張状態でした。
研究者というのは、研究して発表するのが仕事なので、発表は頻繁にやることになります。とは言え、私はいつだって緊張しています。先日は、割合とぼんやりのんびりしていたのに(多分それがいけなかった)、学会で大勢の前に出たら、あわあわして、同じことを何度も繰り返していました(大恥)。
というわけで、人様に対して、何か教えられるような立場にはないのですが、私の長年にわたる恥ずかしい経験の中から見つけた対策についてお話ししたいと思います。
英語でプレゼンするときに役立つ(かもしれない)こと
内容と構造が大事
どんな発表でも、内容は大事です。イントロもなく要点もなくずるずると続く発表は何語であったって理解不能。まずはきちんとした構造を作り、要点(メッセージ)をはっきりさせましょう。
科学系の場合(その他の場合は知りません)、
背景(こういうことはわかっていました、こういうものがあります)
目的、今わからないこと、知りたいこと(でも、ここがどうなっているかわからないのですよ)
仮定・推測(ここがこうなので、私はこうだと思うんですよね)…なくてもいいけど、あると話の流れがぐっとわかりやすくなる。
実験内容 (だから、こうやって、試してみました)
結果 (全然違っていました、とかね)
考察 (ここがこうだっていうところから、まちがっていたようです)
今後考えられる展開 (そのあたりから、検討やり直します)
最初の一文だけは覚えておく
がちがちに緊張してしまった時のために、どのスライドも最初の一文だけ暗記しておくと、割合とスムースに進められます。
その代わり、残りの部分は一語一語丸暗記しない方が、うまく進みやすいと思います。「あ、間違えた」なんて思わないで済むので。読み上げるのも、聴衆とつながりにくいので、避けた方がいいと私は思います。文法の間違えなどは、何とかわかってもらえます。
練習はたくさんして、話すことと話す順番を決めてしまった方がいいでしょう。
発音の難しい言葉、説明の難しいコンセプトはスライドに書いてしまう
うまく発音できない単語、長くて覚えられない単語、難しいコンセプトなどは、最初の方のスライドに太字で書いてしまって、それをポインターで指しながら読んでしまいましょう。
聞いている人は、書いてある文字とあなたの発音を結び付けることができるので、その後のスライドにもついて行きやすくなります。
スライドあたりの情報は少ない方がいい
一枚のスライドにごっちゃりとデータを載せる人がいますが (たいてい、すべての説明はしない)、そんな情報量を短時間に消化吸収できる人はいないので、やめた方がいいです。特に、なまりのある言葉で言われたら、難易度は髙くなるばかり。
大事な中でも特に大事な図を一つか二つ載せて、縦軸、横軸があれば、両方ともきちんと説明しましょう。特に、最近のビッグデータ解析の見慣れない図の場合は、その読み方をしっかり(ピコ太郎さんみたいな短くてシンプルな文章でいいのです)説明しましょう。
図を読める人は「うんうん、わかる(やや優越感に浸れるかも)」って思うからいいのです。読めない人を助けてあげた方が、最後まで聞いてくれる人の数を保てると思います。
情報量をコントロールする
アニメーション機能などを使って、一度に見せる情報量をコントロールしましょう。
たくさん情報があると、目があちこちに行ってしまって、あなたの説明を聞いていないということがよくあります。自分が説明する部分のみ(グラフの中の一つのサンプルの結果とか)を見せた方が、聞いている人が集中してくれます。
オンラインミーティングのときは、パワポが動かなくなってしまうこともあるので、アニメーション機能は使わずに一枚一枚pdf化できるようにしておくと、安心安全ではあります。この場合、最初に完成形のスライドを作ってしまって、少しずつ情報を抜いていく引き算型で作ると簡単です。
すべてのスライドにまとめの一文
最後にアニメーション機能などを使って、各スライドにまとめの一文を入れてから次のスライドにうつると、内容がぐっとわかりやすくなります。すごい人は、書いてなくてもはっきりしっかりその辺のメッセージを伝えられますが、外国語の場合は特にスライドに書いてしまって、読んでしまえば安心です。
このまとめの一文は、ちゃんと目で追えるように、短く簡単にお願いします。
自信をもって、ゆっくり
美しい発音じゃなくたって、内容が興味深ければ、あなたの発表に興味を持ってくれる人はたくさんいます。自信をもって、ゆっくり、聴衆とアイコンタクトを取りながら(私はこれがまだ下手です)、発表してみましょう。
質問対策
質問はアドリブで答えなければいけないので、一番難しいところですよね。これは、周りの人の前で発表練習して、いろいろ質問してもらうのがよいかと思います。
日ごろから、(手を上げないにしても)発表を聞いたら頭の中でたくさん質問する練習をしていると、自分の発表に関しても質問が出そうなところがわかってくるかもしれません。ここは地道に鍛えていくしかないかな、と思います。
質問が出るというのは、あなたの発表をしっかり聞いていてくれた人がいる、もっとよくわかりたい人がいる、というありがたい状況なので、怖がらないで、感謝の気持ちでお返事しましょう。もし、頭が真っ白になっちゃったら「あとでお話ししましょう。」と切り上げちゃってもOKです。
とりあえず、やってしまえばなんとかなる
以上、思いついたことを書きましたが、外国語でないプレゼンテーションにも当てはまることがありますね。
国際学会などは、みんな癖のある英語に慣れているので、発音等々はあまり気にしなくて大丈夫。とにかく、飛び込んでしまえば何とかなります。
私はいい年になってからフランス語の勉強を始めたので、フランス語は苦手だし、フランス語の発表はずっと逃げてきました。でも、最近かなりシンプルにしたプレゼンを思い切ってやってみたら、なんとかなったので(たくさん質問をもらえた)、まあ、じぶんが恐れているよりも人は寛容なんだと思いました。
がんばりましょう。


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