海外留学、興味ありますか?

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留学してみたい?でも…

「留学してみたい、でも…」って思ったことはありますか? 私は子供のころから外国に住んでみたかったけれど、でも…って心配になったのはいつも言葉のこと。日本語ですら活舌が悪く、恥ずかしがりな私なので、外国語を学んで、それを使って高度な勉強をして、数々のテストをクリアして学位をとるなんて…ちょっと無理、としか思うことはたびたびありました。

私は博士課程からアメリカに留学して、植物病理学で博士号をとってから、イギリスで6年ポスドクして(この時に一人娘を出産)、フランスでもう10年以上研究所勤めをしています。英語はネイティブには程遠いけれど、一応何とかなる程度。フランス語習得はつらくひどく長い道のりで(37歳で開始したし…)、特にしゃべる方は未だに全く自信はないですが、DeepLに助けられて業務は何とかなっております。

アメリカに行った直後は英会話はダメ(特に聞き取りと発音)だったけど、英語が完璧になるまで留学を後回しにしたら、結局留学することはできなかったでしょう。だから、「でも…」って思うことが解決するまで待っていない方がいいんじゃないかな。

やってみたい、って思ったら、その目標に向かって行動していけば、なんとかなる、かもしれません。

留学してよかったこと

留学してよかったことはいろいろありますが、まず英語で会話する度胸がついたことでしょうか。英語を話したり聞いたりする場数を踏んだので、知識は対して増えてなくても、練習を重ねて「慣れた」という感じ。英語で、特に専門分野について会話する、プレゼンする、ディスカッションする能力は、留学のおかげで鍛えられました。英語の微妙なニュアンスの違いもわかるようになりましたが、これはたぶん日本で英語の映画やシリーズを見続ければ、かなりできるようになるはず。

フランス語の方は発音も文法も、いまだに曖昧な部分が多く、日々もっと努力するべきなのですが、面倒なので曖昧なままプレゼンなどをしています。でも、この曖昧なままプレゼンしてしまうという図太さは、過去の外国生活で培ったものだと思っています。

それから、留学して、いろいろな経験をして、固定観念というものはずいぶん減ったのではないかと思います。日本人として、どうしても譲れない部分はいろいろあるのですが(衛生観念とか)、どうでもいい部分がいろいろあったことに気づき、違う考えを受け入れやすくなったように思います。それに、どうでもいい部分で意見の食い違いがあっても、どうでもいいって流せるようになりました。これは、年を取れば自然とそうなるかもしれないのですが、外国にいると「言わなくても分かってくれる」人なんて皆無で「言っても分かってもらえない」ことがたくさんあるので、早くそうなっていくのではないかと思われます。

まあ、とにかく、どちらかと言えば恥ずかしがりやで内気な私が、外国の人と怖気ずにおしゃべりできるのは長い外国生活のおかげでしょう。それに加えて、専門用語が全部英語で出てきて、討論もできるというのは、研究の仕事には必要不可欠であって、ここが鍛えられてよかったと思っています。

留学して難しくなったこと

留学して、ポスドクして、海外生活が長くなったために難しくなったこと、それは何と言っても日本社会に溶け込むことでしょうか。今、日本の社会できちんとやっていかれるかどうか、全く自信がありません。フランス人以上に、不平不満を口に出して、しかも正面から上訴してしまう私が、日本できちんと仕事をもって生きていかれるのか、全くわかりません。特に、部門内の意味の通らないルールとか、物事の進め方に、揺らぎない自信で「ここのここがおかしい」と言葉に出してしまうあたり、やばいような気がします。もっと老獪に交渉できるレベルに到達できるといいのですが。

正面から既存のやり方に異議を唱えるのは、あまり賢くないと思われます。留学生活等々で育んだ多角的なものの見方を使いながら、上手に日本のシステムに溶け込み、少しずつ変えるべきところを変えられるといいですよね。

また、日本から離れる時間が長くなれば長くなるほど、日本での仕事を見つけるのが難しくなるのではないかと思われます。雇用主としては、どこの馬の骨かわからない、しかも外国で感化された日本人を雇うよりは、語学力がまあまあ高く、そこそこ外国経験もあるけれど、日本の過去の雇用主や出身大学の教授からお勧めしてもらえる人の方が、安心して雇用できるのではないかと思います。また、定年退職、退官する教授の後釜探し等々の内部情報は、日本から離れれば離れるほど、耳にしなくなるでしょう。日本に帰るタイミングは、かなり大事だと思います。

さらには、外国で華々しい成果を出した人の場合、「うちの大学のこのポジションでは満足してもらえずに、すぐにやめられてしまうのではないか?」というとても日本人的な感覚で、採用されなかったという例を何度か耳にしたことがあります。中国の場合、そういう優秀な人には、それなりのポジションを作ってお迎えするのに、それができない日本、ちょっと寂しいです(フランスも同じ状況です)。

最後に、年金の問題が出てきます。日本で日本の年金制度に頼って退職することを希望する場合、年金を日本に収め続けることが必要でしょう。私の場合、日本から少々、イギリスから少々、フランスからちょっと年金をもらう予定ですが、どの国でも年金システムの加入年数が短く、普通に生きていかれる年金額をもらうことは不可能です。まあ、日本の国民年金だけでは、満額もらっても生活するのは難しいと思いますが。

将来どうなるかわからない場合は、別の方法で財産を増やす等々、それなりの準備はした方がよいかと思います。でも、ポスドクからポスドクへって移り歩いたりしていると、そんなこと考えられないし、子育てにお金もかかるし、難しいですよね。

まとめてみると

そんなこんな、私見をまとめてみると…

留学したいと思ったら、できない理由を考えていないで、とにかく行動してみては?語学はきっと何とかなります(お金や機会についての問題は、今後まとめて書いてみたいと思います)。

留学してよかったことは、特に専門分野において、外国語で話す能力と度胸がついたこと、いろいろな考え方を受け止め(流し去る)られるようになったこと。

留学して難しくなったことは、日本社会に再度溶け込むこと、日本に仕事を得ること、そして日本社会から「安心して暮らせる年金額」をもらうこと、です。

「難しくなった」だけで「不可能」ではありません。だから、おじけずに、賢く立ち回れば大丈夫。やりたいことをして、後悔することはないと思いますよ。

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