パーマネントの研究者になるーフランス編

フランスで研究

パーマネント(期間を定めない雇用)の研究者になるのは、どこの国でも競争率が高くて、大変なことだと思います。でも、PhDをとって、ポスドクを1-2回したらもう30代半ば、子供が生まれたりすると、長期にわたって安心できるパーマネントの職に就きたいですよね。

私はイギリスでポスドク中に出産しましたが、夫も私もポスドクで、子供のためにも落ち着いて暮らしたいと思い、一生懸命職探しをしました。で、私を拾ってくれたのはフランスでした。

フランスでも、もちろん競争はありますが、CNRSやINRAE、INSERMなどの国の研究機関が毎年パーマネントの研究職を募集するので、他の国よりも安定した研究職に就きやすいのではないかと思います。それに、一度採用されれば、公務員となるので(クビになることはほとんどない)、非常に安定した生活が得られます。

フランスの研究職

博士号所持者がフランスで研究専門の職に就く場合、大きく分けて二つのカテゴリーがあります。

その他、大学で助教授とか教授になって研究をすることも、もちろん可能ですが、担当する授業数がかなり多いので、研究と教職を両立させるのはなかなか大変そうです。

Chargé de recherche

これは、よくCRと略されるポジションで、ポスドクを1-2回経験した程度の研究者が応募するポストです。最初は年配の研究者と一緒に、少しずつ自分独自の研究テーマも立ち上げて、グラントが取れたら、ポスドクや学生を雇って少しずつ自分のチームを作り上げることができます。アメリカやイギリスと違って、いきなりPIとして一人ですべて立ち上げるのではなく、既存のチームに採用される感じなので、ゆっくりと独立していかれるというのが特徴です。

チームの一員として少しずつ自分の研究を立ち上げていく、ということで、安心できる人もいれば、それをもどかしく感じるひともいるのではないでしょうか。

Directeur de recherche

こちらはDRと略されるポジションで、すでに自分の研究テーマを確立して、自分のチームを運営してきた人が応募できるポストです。

外国でテニュアトラックのポジションにいたけれど、いろいろな理由でテニュアが取れなかった研究者とか、フランスに帰りたくなったフランス人とか、大学教員だったけれど研究に専念したい人なんかが応募してきたりします。

研究所の外部からも応募を受け付けるのですが、内部からの応募(CRからDRへ)の方が多いと思われます。

”コンクール”に”オーディション”

さて、これらのポジションに応募するには、年に一回の採用キャンペーンを待ち、必要書類をおくることになります。

研究機関ごとに詳細は違うと思いますが、CRの場合はプロジェクトが指定されていることもあるし、自分で好きなプロジェクトを提案することも可能です。自分でプロジェクトを提案する場合は、そのプロジェクトが研究機関の将来展望に合致していないといけないので、綿密な情報収集と話し合いが必須です。プロジェクトがすでに指定されている場合は、そのプロジェクトを遂行するのに十分な知識と経験があるかというのが、採用の条件となるでしょう。

DRの場合は、現在行っている研究をどのように発展していくか、それが研究機関の将来展望に合致するか、ということが主に見られる部分でしょう。

このような採用試験をフランスではConcour(コンクール)と呼びます。大抵年に一回、同じくらいの時期に公示されます。

書類審査をパスすると、今度はAudition(オーディション)という面接に呼ばれます。歌ってしまいそうですが、歌は必要なく、10分くらいのプレゼン後、20分間くらいの質問に答えるという形式になります(私の所属機関の場合)。

この場合、部屋には多数(30人くらい?)の審査員がいるのですが、最初にまず研究テーマのスペシャリストである二人の審査員(rapporteurという)がいろいろと質問してきます。この二人は、あなたの書類をじっくり読んだ人達です。その後、部屋の中にいる審査員のだれもが質問に参加できます。

フランス語ができなくても、英語で応募して面接に挑めます。でも、フランスの研究機関とフランスの社会に溶け込んで、仲良くやっていきたいという意思ははっきりと示しておいた方がよいでしょう。なにしろ、パーマネントのポジションなので。数年でどこかに行ってしまう予定の人は、絶対に採用されないと言っていいでしょう。

そしてパーマネント

このオーデションのあと、私の所属機関では数日後に結果が発表されます。

そして、契約書にサインすれば、晴れてパーマネント。一応、一年間の試用期間があったりしますが、この期間に解雇される人はほとんどないと思われます。

イギリスやアメリカでは、assistant professor職に採用されても、その後5年間は死に物狂いで働いて、自分と自分の研究の価値を証明しないといけませんが、フランスでは、落ち着いて人生を楽しむこともできるわけです。

丁度、この30代半ばの子育てで忙しい時期を、パーマネントの研究者として過ごせたことは、私にとっては、とても良かったと思っています。外国人の私を研究者として採用してくれたうちの研究所には、感謝の気持ちでいっぱいです(もちろん不満も色々あるけど、それはまた別の機会に)。

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